逸脱を意識するって意味わかんないですよね。
説明します。
人って、無意識に「 これはこういうもんだ 」って想像しています。
「3着1000円のTシャツの質はこんなもんだ。」
「ランチを500円で済ませたらこんなもんで、1500円ならこんな感じだ」
「牛丼屋に入ったら、こんな感じに座って、こんな感じで注文して、こんな感じの牛丼食べて、こんな感じで会計する」
みたいな。
わかりますよね。
要は
いい意味で、想像を裏切る、ということです。
例え話です。
ある家族が海外旅行に行って帰宅した時の話です。
5歳の娘が旅先のホテルにお気に入りの熊のぬいぐるみを忘れてしまいました。
この子はその熊のぬいぐるみが大好きで、それがないと夜も寝られません。
泣きじゃくる娘に、父親は娘にこう言いました。
「 クマちゃんは今、夏休みで旅行に行っているんだよ 」
「 旅行が終わったらちゃんと帰ってくるから心配しないで 」
娘 「 ・・・本当? 」
両親 「 本当だよ。 だから家で待っててあげようね。」
こうして娘を落ち着かせた両親はすぐにホテルに電話しました。
父親 「 昨日にそちらに泊まった〇〇ですけど、そちらにクマのぬいぐるみの忘れ物ありませんでしたか?」
ホテルスタッフ 「 クマのぬいぐるみですね。ちょっとお待ちくださいね、 あ! ありました。 よかったです 」
父親 「 ありましたか、良かった。 申し訳ありませんが着払いで郵送してもらえますか? 」
ホテルスタッフ 「 かしこまりました。すぐに送らせていただきます。
これで娘さんも安心ですね。 」
父親 「 見つかって本当に良かった。 そのぬいぐるみがないとタイヘンなんです。
娘を落ち着かせるために、ぬいぐるみは旅行に行っていると伝えてあるんですよ。」
ホテルスタッフ 「 素敵ですね。 見つかってよかったです。それでは到着をお待ちください。」
こうして電話を切りました。
翌日、ホテルから段ボールが届き、開けてみると、ぬいぐるみと一緒に小さなアルバムが入っていました。
開けてみると、そこには夏休みを満喫しているクマちゃんの写真が入っています。
アロハシャツを着て、サングラスをかけて海をみるクマちゃん。
ホテルでマッサージを受けているクマちゃん。
顔にパックして寝ているクマちゃん。
美味しそうな料理の前に座ってビールを持つクマちゃん。
ドライブしているクマちゃん。
これを見て娘は大喜び。
両親は、ここまでしてくれたホテルスタッフに感激してしまいます。
そしてホテルに電話して感謝を伝え、口コミサイトにわざわざ投稿。もちろん満点評価。
周りの友達にも感動をもって伝え、SNSでも投稿しました。
その家族はすっかりそのホテルの大ファンになったんですね。
このホテルはリッツカールトンです。
この話、両親はどうしてホテルのファンになったのか理解できますよね。
これが 「 逸脱 」です。
両親は、旅行に行って、ホテルに泊まって、忘れ物をして、という事が起きると、
ホテルの対応は「こんな感じだろう」と無意識に想像していました。
忘れ物が見つかり、丁寧に包装してくれる。
もしかしたら宿泊したことの感謝の手紙が入っているかもしれない、と無意識に想像しました。
しかし、ホテルがとった行動は、熊のぬいぐるみの旅行アルバムを作ってくれたわけです。
「こんなもんだろう」から逸脱したんですね。
飲食店なら
飲食店に行って、オーダーして、食べて、会計して、帰宅する。
だいたいの流れって想像できます。
そこに何か1つでいいから、「逸脱」の要素を組み入れましょう。
もちろん、いい意味でなければなりませんが
「逸脱」するとお客様の心に残ります。
感情が揺さぶられます。
お客様の為になにができるか、考えましょう。