カグラオーナーのフランス滞在記 3 始まったフランス修行 編 2019-04-26 12:46:22 次の日からさっそく出勤。 いつも初出勤は緊張しますね。 スタッフはサービス2名調理3名洗い場1名 フランス初出勤して分かったんですが 日常会話はともかく 厨房内の仕事の会話はあまり問題ないな、と。 というのも日本で怒られまくってたレストランでは厨房内の単語、連語、調理技術用語、スタッフへの呼びかけ ほぼフランス語だったんです。 怒られまくって小突かれて必死に覚えた専門用語が通じたんですね。 これには助けられました。やっぱり無駄なことなんてないんです。 先輩に感謝です。 僕のフランス語の発音は最悪だったと思いますが フランス人コックと日本人コックは関わりが深いこともあって僕の下手なフランス語を勝手に解釈して理解してくれるんですね。 聞き取る方は耳が慣れてくるんですね。なんて言ってるかはなんとなく分かるわけです。 シェフ(料理長)も僕に教える時は話ながらやって見せてくれたんで1度教わったらできました。 でもやはり驚くのは文化の違いです。 洗い場のスタッフはアフリカ移民のカヌテ君。身長188㎝。 忙しい営業時間中に突然いなくなるんですよ。 『あれ?シェフ、カヌテ君がいない』って言うと、 シェフ『今は地下でお祈りの時間だ』 『カヌテ君はイスラム教徒だからな』 そんなのありー? カヌテ君のロッカーは開けると祭壇になっていて時間になるとお祈りしてました。 そして決して邪魔をするなと釘をさされ。 さらに、『賄い(食事)に間違って豚を食わせたら 本当に殺されかねないから気をつけろ』 まじかー! めんどくせー! 思いましたね。 カヌテ君は今までの日本人コックに少し日本語を教えてもらってるようで 僕のことは 『オニー』(お兄さん)と呼んでました。 カヌテ君 『オニー。賄い。豚。ダメ。』 『オニー。ピザ。好き。』 僕 『カヌテ君、わかった。OKだ。』 でピザ作ったりしてました。 出勤は朝8時。 厨房にラジオがあって毎朝他のスタッフと聞いてました。 (とはいえ僕は理解不能でした) ある朝、 ラジオからいかがわしい、いやらしい女性の声が流れてくるんです。 ・・・・?なんだこれ? 他のスタッフは真剣な表情でラジオを聞いています。 それから男性が何かしゃべって、 また別の女性のいかがわしいまったくけしからん声が流れてくるんです。 朝8時ですよ? 後でわかったんですが。 『あえぎ声選手権』 でした。 『これがフランスかー!』 思いましたね。 ガッチガチの職人気質の中で仕事を覚えてきた僕にとって衝撃でした。 でもラジオチャンネルを外国人で新入りの僕が変えるなんてできないので仕方なく聞いてました。仕方なく。 それからランチ営業があって 自由時間があって夜の賄いなんですが。 ここでもびっくり。 ワインが大きなピッチャーに入ってテーブルの真ん中に置かれるんです。 フランス人それを普通にのむのむ。 ( まじか、これから営業だよ? ) フランス人 『ダイシュケもどうだ?』 (僕の下の名前は大介です)(フランス語読みにするとダイシュケ) フランス人 『好きなだけ飲んでいい』 『でも気をつけろ』 『飲んでもいいがそれで何かあったら 責任をとるのはオニーだ』 さすが個人主義! 僕は酒が弱いのでやめときました。 やはり外国。 日本とは根本から違う。 とにかく初日から驚きの連続。 個人主義 そして実力主義 仕事ができるなら外国人でも厚遇されます。 でも外国人だからと遠慮もしない。 なんて気持ちのいい国なんだ と思いました。 つづく