厨房でフランス人と喧嘩するという
不祥事を起こした僕。
理由はどうあれ
やっぱりまずいよなぁと反省。
レストランとしては
ビザなし外国人を雇っていることが
警察にしれると罰則と罰金が
かせられるそう。
静かにしてなきゃいかんのです。
と反省はしてたんですが
他スタッフの目に変化が。
なんというか、
仲間として認められた感
がありました。
副料理長や料理長に外に連れ出され
市場に連れて行ってもらえたり。
ホームパーティーに呼ばれたり。
むしろ仕事しやすくなりました。
そして時間はあっという間に過ぎます。
他の部署にウロウロ顔だして手伝ったり
してましたが
とうとう3か月が経過。
目標だった
『肉か魚の担当になる』
は叶いませんでした残念。
最後の4か月間目にはいった頃です。
シェフに呼ばれました。
『ダイシュケ』
『パリから離れるのはOKか?』
次の職場の話だと思いました。
有難い。
でも複雑。
ここで継続して雇ってほしい
とも思いましたが
ここはパリのド真ん中。
警察がいつ来るか分かりません。
その事情もあるので
贅沢は言えませんでした。
「はい。どこでも行きます。」
と即答。
するとシェフは
フランスの地図をだして
『ここのレストランがダイシュケを
雇ってもいいと言っている。』
そこはフランス南西部のナルボンヌ。
スペインの国境が近い
地方都市でした。
シェフは僕の次の修行先を
探してくれていた。
どこだろうと
断る理由はありませんでした。
「はい。シェフ。行きます。」
「ありがとうございます。」
『住むところは
レストランが用意してくれる』
『ナルボンヌの駅に着いたら
ここに電話をしろ』
レストラン情報と
オーナーシェフの名前、
電話番号を書いた紙をくれました。
感慨深いものがありました。
そしてあっという間に4ヶ月。
最後の日は皆が
『また会おう』
と言ってくれて嬉しかった。
ルールシェアさせてくれてた
ご夫婦と別れ。
イヴォン副料理長の運転する車で
高速鉄道TGVの駅に向かい、乗車。
窓の外で
イヴォン副料理長がガッツポーズ。
僕もガッツポーズして。
「ありがとう」と言って別れました。
TGVに乗ってあっという間に
パリをでました。
流れる景色はあっという間に
フランスの田舎風景。
パリの思い出を振り返りながら
少し眠りました。
こうしてナルボンヌ到着。
駅について率直な感想は
「田舎!!」
でも内心はメラメラとやる気が溢れました。
「ここが次のステージか!」
着いたら電話しろと言われてたな、と。
鞄をゴソゴソしてると
おじさんが、
『ムッシュー!
君がダイシュケか?!』
『日本人だろー?!』
やたらでかい声。
連絡を受けて待っていてくれたようです。
「はい! そうです!」
『良く来た!! 疲れただろ?!』
『オレはヤンヌだ!
洗い場スタッフだ!』
肩をバンバン叩く叩く。
(痛ぇ)
「ダイスケ イワブチです。
よろしくお願いします」
ぺこり。
『ダイシュケ。。イワ。。ブ。。。?』
『。。。まぁいい!
よろしくな!』
こんな感じでクルマに乗せてもらい
用意してくれてるという
アパートへ。
着いてびっくり。
広くて良い部屋でした。
『明日は10:00から仕事だ!』
『レストランはこの道をあっちだ!』
『今日は好きにしろ!』
『じゃぁ、俺は行く!』
肩をバンバン!
(痛ぇ)
「はい! よろしくお願いします!」
とあっという間に1人。
(あとで知りましたが、このパワフルな洗い場担当ヤンヌさん。
全仏洗い物選手権の
チャンピオンだそう。)
(あえぎ声選手権の次は
洗い物選手権か。
なんでもあるな。。。)
場所は確認しとかないとな。と思い
レストランを目指して歩きました。
歩いている途中、
皆、じろじろ見てきます。
この街に
アジア人は僕1人だったようで。
まぁ、目立つ目立つ。
途中、警察官とすれ違い。
堂々としてた方がいいので
普通に通り過ぎました。
しばらく行ってレストランを確認。
引き返して帰る途中。
前方に不良少年?
ガラの悪い集団発見。
5人くらいで
道路に座り込んでいます。
(めんどくせーなぁー)
アジア人が珍しいので
やたら見てきます。
何やらゴニョゴニョ言ってます。
『おいおい、見ろよあれ。
アジア人だぜ?』
て感じ。
いよいよもって
(めんどくせーーーなぁーーーーー!)
と思いながら
彼等の前まできました。
つづく